体臭、中でもわきが臭の原因は、アポクリン汗腺から分泌される汗が、皮膚の常在菌によって分解されるときに出すニオイです。
アポクリン汗腺が発達したわきが体質は、確かに変えることはできません。ですが、生活習慣を改善することによって、ニオイを出しにくい身体にすることは可能です。体臭・わきが臭を強くする生活習慣と改善方法をご紹介します。
目次
食事や嗜好品による体臭・ワキガ臭への影響
食事による体臭・わきが臭への影響
体臭やわきが臭は、わたしたちの身体から出る汗がニオイの元になっています。そして、その汗にも、ニオイが強くなりやすい汗と、ニオイが強くなりにくい汗があります。
ニオイが強くなりやすいか、なりにくいかは、汗の成分によって変わってきます。汗の成分は、食事内容によっても変化するため、体臭やわきが臭が強くて悩んでいる方は、ニオイが強くなる食事に偏っている可能性があります。まずは食事内容を見直してみましょう。
嗜好品による体臭・わきが臭への影響
体臭やわきが臭を強くする要因として、煙草(タバコ)に含まれるニコチンや、コーヒー、紅茶、ココアなどに含まれるカフェインなども挙げられます。
とは言え、煙草を1本も吸ってはいけないというわけではありません。目安として、喫煙は1日に10本程度なら身体の内部からの体臭には影響しないと言われています。(口臭やタバコの煙のニオイが身体についてタバコ臭くなることは避けられません。)
また、コーヒーや紅茶、ココアなどのカフェインを含んだ飲み物も、飲み過ぎると体臭が強くなる原因になると理解しておきましょう。例えば喉が渇くと必ずコーヒーを飲むという方は、喉が渇いたときはお水を飲むようにして、コーヒーは食後だけにするだけでも体臭の軽減に効果があります。
食事や嗜好品による体臭・わきが臭への対策は補助的なものと考えて、無理なく行いましょう。
過度のストレスによる体臭・ワキガ臭への影響
ストレスと精神性発汗
誰もが経験したことのある現象だと思いますが、過度の緊張や恐怖、困惑などの精神的なストレスを受けると、体温の調節とは関係なく、手のひらや足の裏、脇の下から汗をかきます。
いわゆる冷や汗とか脂汗といった汗のことです。また、イヤなことではないのですが、好きな人と手をつなぐときなどに、緊張して手に汗をかいてしまうのも精神性発汗の一つです。
精神性発汗の汗は、ほとんどがエクリン汗ですが、アポクリン汗腺も刺激されるためアポクリン汗も分泌されますので、極度の緊張状態の時などにわきが臭が強くなることがあります。
ストレスと自律神経
わたしたちの身体の機能を調整する自律神経には、活動的なときや緊張しているとき、ストレスを感じているときなどに優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位になる副交感神経の2種類があります。
わきが臭の原因となるアポクリン汗は、もともと異性に自分をアピールするためのフェロモンの役割があるため(性的に)興奮したときに多く分泌されます。そのため、アポクリン汗の分泌を促すのは交感神経の役目なのです。
正常な状態の自律神経は、交互に入れ替わりながらお互いの神経を休めていますが、過度のストレス状態が続くと、常に交感神経が優位な状態が続くことになり、神経が疲れて身体の機能の調節がうまくいかなくなってしまいます。
エアコンの使用と運動不足の影響
汗をかかなくなった現代人
わたしたちの身体には、体温が一定以上上昇すると、汗をかいて汗が蒸発する気化熱によって体温を下げる働きを持っています。
ですが、本来汗をかくべき暑い日にも、わたしたちが一番長い時間過ごすオフィスや店舗などでは、エアコン(冷房)で室温を調節してしまうため、汗をかくことがありません。確かに、室温が高い状態では頭がボーっとしてきますし、汗をダラダラ流しながら仕事をしていても効率が良くありません。
また、特に女性の場合、職種としてもオフィスでのデスクワークや、エアコンのきいたビルの店舗内での販売などが多く、仕事中の運動量も少ない傾向にあります。また、自分が運動不足だと分かっていても、しっかりと良い汗をかくような運動をする時間を確保できないというのが現実なのかもしれません。
女性にありがちな「便秘」も、ニオイ物質が血液中に入り込み、体臭を強くする要因になりますので注意しましょう。
体臭・わきが臭を改善する生活習慣
ここまで見てきた内容が、体臭・わきが臭を強くしてしまう生活習慣になります。それでは、それぞれの改善策を考えてみましょう。体臭・わきが臭を改善するために改善する生活習慣は、次の3つになります。
- 毎日の食事内容を改善する
- ストレスを解消する
- 運動で汗を流す
まず、毎日の食事内容の改善については「体臭・わきが臭を強くする食事と軽減する食事」の記事で詳しくご紹介していますので、そちらの記事を参考にしてください。ここでは、体臭やわきが臭の改善に最適な「リラックス(交感神経を休ませる)」と「汗を流す」ための方法についてご紹介していきます。
リラックスする時間をつくる
ストレスと聞いて思い浮かべるのは、仕事での緊張や人間関係などのストレスだと思います。ですが、過度のストレスによって体臭やわきが臭を強くしてしまう方の中には、自分では意識していないうちに、ストレスを溜め込んでしまっていることが多いのです。
例えば、寝転んでテレビを観ている状態は、一見リラックスしているように思われますが、実はこのときも交感神経が優位になっている緊張(ストレス)状態になります。スマホを操作しているときや、読書をしているときもこれと同じ状態にあたります。
1日に1度は、気持ちを落ち着けてリラックスする時間をつくりましょう。
効果的なリラックス方法
お風呂上がりの寝る前に行うと神経の緊張をほぐしてリラックスしやすい方法をご紹介します。
- 照明は間接照明にしてお部屋を薄暗くする
- リラックス効果のあるアロマオイルやアロマキャンドルも効果的
- 静かな音楽を流す(雑音や騒音が気にならなくなります)
- 温かい飲み物を飲む
- 軽く目を閉じて、腹式呼吸でゆっくりと呼吸をする
リラックスにお勧めの飲み物
- ココア
ココアの原料であるカカオの実には、血液をキレイにする作用やストレスへの抵抗力をつける作用があるポリフェノールや、自律神経を整える作用があるテオブロミンという成分が含まれています。 - ジャスミンティー
中華料理と一緒に出されることが多いジャスミンティには、滞った「気」を循環させる効果があると言われており、自律神経を整える効果が期待できます。 - ミントティー
ミントの葉を熱湯で数分蒸らしたミントティーに含まれるメントールという清涼成分には、気持ちをスッキリとさせて落ち込みやイライラを解消する効果があります。
- レモネード
ビタミンCやクエン酸がたっぷり含まれているレモン。特にクエン酸には、筋肉や脳の神経疲労の回復効果があります。ビタミンB1やB2を豊富に含むはちみつを加えることで、ストレスの軽減やリラックス効果がさらに高まります。 - ミルク+ブランデー
カルシウムが豊富なミルク(牛乳)にブランデーを少量加えると、ブランデーに含まれる樽ポリフェノールには、老化防止に役立つ抗酸化作用があるほか、少量のアルコールが心地よい眠りに誘います。アルコールが苦手な人は、ブランデーを入れずに普通にホットミルクでも。
効果的な汗のかき方
運動をして定期的にまとまった汗を出してあげることで、身体の中にニオイ物質を溜め込んでしまわずに少しずつ排出することができます。わきがに悩んでいる方は、ニオイが強くなることを恐れて汗をかくことを避けたがりますが、体臭やわきが臭の軽減のためには、運動によって質の良い汗をかくことは非常に大切なことです。
ですが、しっかり汗をかく運動をするためには、ある程度の広い場所が必要です。また、ジムに通うにはお金もかかるし、そもそも時間がない。「自分が運動不足なのは分かってるよ!」という声が聞こえてきそうです。
ジョギングがお勧め
運動不足を解消するために簡単にできることとして、電車やバスでは座らずに立つ、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う、家事や歯を磨くときは爪先立ちなどの方法がよく紹介されています。
ですが、これらの方法は、筋肉に刺激を与えてカロリーを消費することには効果がありますが、体臭やわきが臭を軽減するためにしっかりと汗をかくという目的のためには向いていません。
ですが、仕事から帰って着替えて毎日1時間程度のジョギングをして汗をかく。体臭やわきが臭を軽減するためにジョギングがお勧めと言われても、これを毎日続けるのは結構大変なことですよね。健康面全体のことを思えば運動をして汗をかくのが理想的ですが、ジョギングよりも簡単に汗をかく方法があります。
お風呂で効率的に発汗する
わきがの臭いに悩む女性は、汗をかくと臭いが強くなることは自覚しています。そのため、お風呂でもなるべく汗をかかないように湯船につからずにシャワーだけで済ませて、お風呂にかける時間も短い傾向にあります。ですが、このような入浴方法は逆効果です。
半身浴で汗を出してから身体を洗ったほうが、脇の下の皮脂や細菌も落ちやすくなります。また、夏場などはお風呂を上がる前にぬるめのシャワーを浴びることで、お風呂上りの汗を抑えることができます。お風呂上りはお風呂で汗をかいた分、忘れずに水分を補給しておきましょう。
岩盤浴やサウナで汗をかくことは、とても効果的ですのでお勧めです。
大抵のサウナは、狭い空間で複数のお客様が利用します。「そんな中で汗をかくなんて、わたしのわきが臭が充満して恥ずかしい思いをするのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、その心配はありません。
エクリン汗も、わきが臭の原因となるアポクリン汗も、そのままでは強いニオイはありません。アポクリン汗は、皮膚の常在菌に分解されてはじめてわきが臭に変わります。サウナでは、細菌に分解される暇もなく次から次へと汗が出てくるので、サウナの浴室がわきが臭で充満するようなことはありません。
参考記事:毎日のお風呂でニオイ・体臭ケア!お勧めの石けん・ボディソープは?
食生活やストレス、運動不足などの生活習慣を見直して改善することで、身体の内側からニオイを出しにくくすることはとても大切なことです。ぜひ実践してみることをお勧めします。