近くに来ただけでも強いニオイを放つわきが臭。なんでケアしないの?自分で気づかないの?と不思議に思ってしまいますよね。ですが、人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)のうち、臭覚は一番慣れやすく、常に同じ臭いを嗅いでいると臭いを感じなくなってしまうのです。そうなると、自分は大丈夫?と不安になってしまいませんか?そんなわきが臭について、詳しくご紹介します。
わきが臭とは
わきが臭とは、エクリン汗とアポクリン汗の2種類ある汗のうち、アポクリン汗の成分を皮膚の常在菌が分解する時に出す強いニオイの事を言います。
そのニオイは、ゴボウやネギ、鉛筆、納豆などに例えられるような鼻にツンとくる不快なニオイで、エクリン汗が出す、いわゆる汗臭いニオイとは違った強いニオイがします。
本来健康にはなんの問題もない症状ですが、日本では、腋臭症(えきしゅうしょう)と呼ばれ、疾患としての扱いを受けています。
わきが体質の人口が少ない日本人
わきが体質とは
わきが臭の元となるアポクリン汗は、もともと異性を惹き付けるためのフェロモンとしての役割があり、誰もが持っているものです。ですが、このアポクリン汗を分泌するアポクリン汗腺が多く、大きく発達している人は、他の人に比べ強いニオイを出しやすい「わきが体質」と呼ばれています。
人種別に見るわきが体質の割合
この「わきが体質」の人の割合を人種別に見てみると、顕著な違いがあることに気づきます。世界の大まかな人種ごとのわきが体質の人の割合は、次のようになっています。
- 黒人:ほぼ100%
- 欧米人:70%〜90%
- 中国・韓国人:3%〜5%
そして、わたしたち日本人は、10%〜15%の人が「わきが体質」だと言われています。また、この違いは、主に長年積み重ねてきた食文化の違いが要因になっていると言われています。
高カロリー、高脂肪な食事は、皮脂腺やアポクリン汗腺を刺激して活動を活発にさせるため、歴史的に肉類を主食としてきた黒人や欧米人は、アポクリン汗腺が発達して「わきが体質」の人が多くなっていきました。逆に、野菜や魚などの淡泊な食事を続けてきた、わたしたち日本人を含むアジア人は、アポクリン汗腺が退化して体臭が少ない民族になっていったのです。
「なんだ!日本人には10%〜15%しかいないのなら大丈夫」
ついついそう思ってしまいそうですが、実は逆なのです。欧米人のように、10人のうち7人がニオイが強ければ、クサイ人は多数派です。クサイ人を特別視することはありません。
ですが、10人のうち1人だけがニオイが強い日本人はどうでしょうか?かなりの少数派です。周りの人からすると「あの人だけクサイ」「不潔なのではないか」と大きなマイナスになってしまうのです。わきが臭が強いことを「腋臭症」と呼んで、病気のように扱っているのは日本だけです。
ニオイに敏感な日本人
ニオイ文化の違い
西洋人には、毎日お風呂に入る習慣がありません。そのため、体臭を隠すための香水が発達しました。一方日本では、お部屋にお香を焚く文化はありますが、身体に直接香りをつける文化はありませんでした。日本人は、身体にうつったお香の「ほのかな香り」を好んだのです。そのため、日本では現在でも香りの強い香水はあまり好まれません。
フレグランスとわきが臭が混ざると、より不快なニオイになります。
感覚が繊細な日本人
全体的にこってりとした味付けの洋食や中華料理と違って、さっぱりとした中に味わいのある日本食は海外でも人気です。また、色においても原色よりも淡い色を好み、ほんの少しの色の違いであっても区別して違った名前をつけるなど、日本人は様々な面において繊細な感覚を持っています。
それは、ニオイについても同じで、強いニオイよりもほんのりと香る程度のニオイを好む傾向にあり、ほんの少しのニオイの違いであっても敏感に気がつきます。
日本人は体臭にも敏感
ほのかな香りでも嗅ぎ分ける日本人は、もともと体臭が少ないせいもあり、意識していなくても周りの人の体臭に気づいてしまいます。そして多くの場合、それは好ましいものではありません。
体臭が少ない日本人にとって体臭を抑えるケアは最低限のエチケットです。
特に男性は「女の子からは良い匂いがするもの」という期待を持っていますので、しっかりと体臭のケアをしてからフレグランスを使うようにしましょう。
気を遣う日本人
もしあなたの隣の席の同僚が、わきが臭が強かったら、あなたはどうしますか?「臭いよっ!体臭のケアしなよ」とはなかなか言えないですよね。顔をしかめたくなるなるのを我慢しながら、平静を装うはずです。場合によっては理由を言わずに席替えを希望することもあるかもしれません。
よくあることですが、知り合いの男性の「社会の窓」が開いているのに気づいても、よほど仲が良くなければ見て見ぬ振りをしてしまいますよね。このようなことは、異性間だけでなく同性間でも同様のことが言えます。
実際に、このまま恥ずかしい状態を続けるよりはとこっそり教えてあげたのに、逆に気まずい雰囲気になってしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。
相手の欠点や失敗を指摘するのはとても失礼なことという意識があります。
自分の体臭は、自分で気づいて、自分でケアを始めるしかありません。
本当に大丈夫?自分で気づきにくい「わきが臭」
臭覚の働きの特徴
人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)のうち、ニオイを感じる感覚である臭覚は、一番慣れてしまいやすく、しばらく同じ臭いを嗅いでいるとニオイを感じなくなってしまいます。
例えば、公衆トイレに入ったばかりの時は「クサいな」と思っていても、しばらくしたら気にならなくなりますよね。また、友達の家を訪問したときは、その家独特のニオイを感じることがありますが、自分の家に帰ってきても特別なニオイは感じません。これは、あなたの家が無臭なのではなく、あなたの鼻が自分の家のニオイに慣れてしまって、ニオイを感じなくなっているのです。
自分でも気づくようなら要注意!
暑かった日や、運動をした後に汗を拭けなかった時など、ふと気づいたらいつもの汗と違う「鼻にツンとくるようなわきが臭」を感じたことはありませんか?そんな経験がある場合は、あなたも「わきが体質」である危険性がありますので、ケアの必要があるかもしれません。
足のニオイのようなエクリン汗が原因の皮膚汗臭は、ブーツの中やストッキングのような高温多湿の中で、長時間汗がとどまっていることで、ふやけた皮膚の老廃物や古くなった角質、皮脂などに雑菌が繁殖して起こりますので、ニオイが発生するまでに非常に時間がかかります。
参考記事:簡単にできる「わきが(腋臭)」のセルフチェック方法
ちょとした体臭にも敏感に反応する日本人。自分の知らないところで「あの娘クサイ」なんて、陰口を言われたくないですよね。また、周りの人に迷惑をかけないためにも、自分の症状に合わせた体臭ケアを実践しましょう!
参考記事:毎日のお風呂でニオイ・体臭ケア!お勧めの石けん・ボディソープは?